裏打ちの仕方 一例として




生紙(ドーサ引きでない)に描いた絵の裏打ちです。

裏打ちの方法は色々あると思うのです。

薄手の手漉きの楮紙を使えば

滅多なことでは破れません。

紙や糊や刷毛に手慣れた方ならば

やってみると簡単だし楽しいです。

自分がやりやすいように

自己流にアレンジしていますが。

大雑把ですが、覚え書きをしてみます。








揃えるものも書かずにいきなり始めますが、

ホームセンターで販売している障子紙、

ありますよね。

安価なもので結構です。下敷きにします。

それを、裏打ち紙の大きさより四方、

五ミリくらい大きく切って

霧吹きで湿らせます。








乾いた刷毛で、シワを綺麗に伸ばします。


刷毛は、紙に毛がつかない様に

無駄な毛は落としておきます。








綺麗な布巾に、余分な水分を吸わせます。










描いた絵を、表を下にして置きます。

これは石州半紙稀(25×35)です。

薄手の強靭な手漉き紙です。









霧吹きでまんべんなく湿らせます。








空刷毛で優しく中心からシワを伸ばします。

ゆっくりやります。

絵が下に写ってしまうと

思われるかもしれません。


大丈夫です。

生紙(きがみ)に描いた墨は

それはそれはしっかりと

繊維に食い込んでいます。

でも優しくやりましょう。







右端に1cmくらいの幅で糊を引きます。

糊は、できるだけ

ゆるく作った方がいいと思う。

生麩糊です。







こういった感じで糊を引きます。








絵の右に置いたのは、裏打ち紙。

絵を描いた紙よりも、

四方それぞれ3cmくらい

大きくカットしています。



私は五箇山の悠久紙を使っています。

こちらも薄手のしっかりした手漉き楮紙です。

昔ながらの方法で丁寧に作られています。


空刷毛で、表面の付着した繊維などがあれば

軽く掃き、綺麗にします。









ツルツルした方、表を下にして、

絵の上に重ねます。

右端の糊に貼り合わせます。


(薄手の楮紙で、と裏と、

そう変わらないものもあります。

そう言う場合は、

表はどちらでも良いと思います。)











そして、糊のところを抑えて

扉を開く様に、右に戻します。










裏打ち紙にゆるく溶いた糊を刷毛で引いていきます。


シワを伸ばす様に、

ゆっくりと、薄く、均一に引きます。







糊を引いてしまうと

透明になってみえづらいけれど

右に裏打ち紙、糊を引いた状態です。










さあ、これを持ち上げます。

右端に、竹の定規を入れて

それで紙を持ち上げていきます。











持ち上がった。








右からゆっくりと降ろして・・・


張り合わせていきます。


この時、空刷毛を使って撫でながら

降ろしても良いですが

慣れれば下ろすだけで、シワなく

張り合わせることができます。










張り合わされました。










綺麗な乾いた布巾に

余分な水分を吸わせます。

優しく。








綺麗な空刷毛で

空泡の無いように引きます。

やさしく。








周りにまた1cmほどの幅で

ぐるりと糊を引きます。







こんな感じです。







一箇所、小さく切った紙をおきます。

これは、後でヘラを入れるための紙です。







さあまた、竹の定規で、


一番下の障子紙から


持ち上げます。









持ち上げました。








別に用意した台紙にゆっくりと置いていきます。


この台紙、私は厚手のベニヤ

(またはコンパネでも)に

新鳥の子を張ったものを使っています。








ゆっくりと降ろしていきます。







降りました。







この隙に机を綺麗に拭いておきます。

また次の絵の裏打ちのために、

今使った下敷きの紙を机に載せるので。

(私は下敷きの障子紙は、

4、5枚ぶん裏打ちに使ったら

新しく替えます)







先ほど周し糊をしたので

その部分を優しく抑えます。

真ん中の絵の部分は抑えないで。







下敷きの障子紙だけ持ち上げていきます。








出来上がりです。









障子紙は次のために机に戻して、



空刷毛で伸ばしておきます。







私は糊はゆるく作ります。


糊が薄い方が、

作業全てにおいて良いと感じています。



とってもゆるいのですが、

自分のやりやすさに合わせて

溶いたら良いと思います。








一枚の台紙に張り終わりました。


数日乾かします。



私の感覚では、

晴れのカラッとした日よりも

曇りがちや

湿気の多い日の方がやりやすい。

絵を描くのも、乾くのも、

湿度のある方が良い。

ゆっくりな方が良い。










数日後、さあヘラで剥がしていきます。






これ、本にはこんなことは書いてないのですが

私は剥がしやすいように、

裏打ち紙ギリギリのところに

四方、カッターで軽く薄く切目を入れます。

カッターを浮かせるくらい、

ほんのちょっとの軽い切目です。








小さな紙を入れたところからヘラを入れます。








ぐるっと・・・


優しく、ゆっくりと剥がしていきます。


















はい、四方剥がして、

台紙から綺麗に外せました。


おわりです。






木製パネルに張り込むまで、

重ねて保管します。


ヘラの差し込み口の小さい紙は

取ってしまって良いのですが、

私は寸法など、覚え書きをメモしておきます。

本張りの際には外します。









私は、保管には着物用の新しいたとう紙を使います。

たとう紙を改造して、紙の大きさに合わせたりもします。


使い古した黄ばみのあるたとう紙を利用する人は

あまりいないと思いますが

黄ばみのあるたとう紙に入れた着物も、黄ばむといいます。

普通たとう紙は、ほとんどが

一般的なパルプの機械紙だと思いますので

いつかは黄ばみます。


だから、好みの厚手の手漉き紙などで、

自分でたとう紙を作ったら尚良いですね。


昔ながらの方法で薬品を使わず

きちんと丁寧に漉かれた紙は、黄ばみは出ません。

年月を経て、ますます白さを増すと言います。



塵入り紙などでも素敵。















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migiwa tanaka