優曇華の花
寝付けない夜明けに虫の声を聴く
ああ何より
この虫たちの音色は心に響く
まだほの暗い夜明けの空に木々のシルエットをなぞる
しっとりとした雨上がりの匂い
狭間の世界だ
音と音の間から、別の世界に足を踏み入れる
...
毎日妹に話し掛けるので
わたしは半分向こう側に足をかけている気がする
ようやく、妹が近くに来てくれるような感覚を感じることがある
右頬、右腕、それから頭の上を、
時折風がかすめるように、何かが触る感覚がある
もちろん希望的感覚に過ぎないかもしれないけれども
でも妹の魂がいま近くに息づいているとしたら
どれだけ慰められることか!
...
面白いことに、日々、
妹との関係が変化していくように感じます
まるで生きている人と同じように
ゆうちゃんが少しづつ変化していくのを
自分の体を持って感じる
ゆうちゃんがいってからひと月だね
...
ゆうちゃんが向こう側の世界にいってしまってからひと月
ゆうちゃんの子が九歳になったよ!
お父さんと足柄のうちに来てくれたよ
丹沢の川で跳んだり跳ねたり!
自然の一部に帰っていく…
なんとパワフルで不思議な子だろう
あの子の今日の姿をみたら、誰でも顔がほころんじゃうね
なんだか悲しみが
空に溶けていくような気したよ
今日の天気
ゆうちゃんが手伝ってくれたんでしょう
ゆうちゃんが子供のときも青空のようだった
あれがゆうちゃんの魂の色だね
さわやかに晴れ渡り、空に真っ白な筋雲がでている
なんだか天使の羽みたい
...
ゆうちゃんがいるときに
こんなに気ままにみんなで遊べたら
とてもよかっただろうなと思うけれども
ゆうちゃんが肉体を脱いだからこそ
みんなで学ぶこともあったかもしれない
...
いいお友達いたね
「わたしは次も必ずあなたを見つけます」って言っていた
式のスピーチではあの子の言葉が誰よりも
いちばん心に響いたって家族で話しているよ
なんだかこういうことは例外的かもしれないと思うけれども
ゆうちゃんが肉体を持っているときには
届かなかった心にも
いまは、みんなのたくさんの愛が届き
それに気付けているのかもしれない
そうだよね?
時々頬をそっとかすめる
それが合図だよね?
...
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migiwa☽ tanaka