雪の降る夜は
ふたりの思い
わたしと亡き妹ゆうちゃんの思いが
ときどきかさなるような気がする
ふたつの気持ちの共通点は、孤独感
そんなときは
身体中がいたくなる
深呼吸して
ふたりまとめて包んでほしいと
雪に祈ってみる
あたたかい飲み物とキャンドルと雪
ほっとする窓辺の時間
旅行中
白い雲が、雪を連れてきてくれた
この地方では
雪が積もるのは珍しいとのこと
雪が音を吸い込んでいく
しんしんと降り積もっていく
心も静かになっていく
雪のきしむ音を聴きながら
ゆっくりと歩いてみる
しんしんと降る雪の中を歩いていくと
宮沢賢治の
思い出された
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一郎はどこからか
「にょらいじゅうりんぼん第十六。」というような語（ことば）がかすかな風のように又匂（におい）のように一郎に感じました。すると何だか周りがほっと楽になったように思って
「にょらいじゅうりんぼん。」繰り返してつぶやいてみました。すると前の方を行く鬼が立ちどまって不思議そうに一郎をふりかえって見ました。列もとまりました。どう云うわけか鞭の音も叫び声もやみました。しぃんとなってしまったのです。気がついてみるとそのうすくらい赤い瑪瑙の野原のはずれがぼうっと黄金いろになってその中を立派な大きな人がまっすぐにこっちへ歩いてくるのでした。どう云うわけかみんなはほっとしたように思ったのです。
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「お前はも一度あのもとの世界に帰るのだ。お前は素直ないい子供だ。よくあの棘の野原で弟を棄てなかった。あの時やぶれたお前の足はいまはもうはだしで悪い剣の林を行くことができるぞ。今の心持を決して離れるな。お前の国にはここから沢山の人たちが行っている。よく探してほんとうの道を習え。」その人は一郎の頭を撫でました。一郎はただ手を合わせ眼を伏せて立っていたのです。それから一郎は空の方で力一杯に歌っているいい声の歌を聞きました。その歌の声はだんだん変り全ての景色はぼうっと霧の中のように遠くなりました。ただその霧の向こうに一本の木が白くかがやいて立ち楢夫がまるで光って立派になって立ちながら何か云いたそうにかすかにわらってこっちへ一寸手を伸ばしたのでした。」
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「ひかりの素足」宮沢賢治
より一部抜粋
私は一郎には
なれなかったけれども
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毎朝、まるで重石が乗っかっているような身体
重く苦しい夢
目覚めても手に残る夢の感触
一体どうしたらいいんだろう？
苦しい朝が続いていた
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そんなとき一通のメールを
ゆうちゃんの親友Sちゃんからもらった
Sちゃんが瞑想を経て
感じたことを描いてくれていた
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「ゆうはみぎわさんや私と
一心同体一緒にいるみたいです。
心から応援しているという事
ただただ一緒に毎日を生活する事に
嬉しい、ありがとう
と言っているみたいです」
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断言するのが嫌だったら
申し訳ないと書かれていた
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「でも何となく素直に書きました。
何となく、
本当に感じたので書かせて頂きます。」
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最初は、ドキッとして信じられない
そのあとは涙があふれ出た
本当にそうかな？
私の日々の暮らしを
本当に一緒に感じているのかな？
もうしそうなら....
もう少し楽にしよう
小さくても楽しいこと
もう少し見つけよう
もう少しおしゃれをしよう
（妹はおしゃれだったので）
それに、絵を描いているときも
重なっているのかな？
本当にそうだったら
二人の仕事なんだね
本当かな？
残念ながら私にはわからない
でももし本当なら......
なんだか私は救われるよ
歩きながら
いつも一緒だよと
語りかけてみた
Sちゃんは不思議
数週間前に私がやっぱり
体調が落ちていたとき
私はゆうちゃんに話しかけていて
ぼんやりとしか手応えが得られない
そんなときに
「ゆうの夢を見ました！」とメールをくれた
まるで架け橋になってくれている
三人はつながっているのかな？
雪の中
現れたカモシカ
雪の中の水車小屋
雪山の夜明け
髪にくっついた雪の結晶
こんなにはっきりと見えるんだね
