富士山に沈む満月スケッチ

 









八月の終わりの数日間、山中湖に滞在していました。


夜中、西の空に傾きかけた月を描いているところ、ふと、このままいくと、お月様は富士のちょうど登頂に沈んでいくようだと気づきました。


それは予期しない出来事でした。

うっすらと夜霧のペールが富士を包み込み。月の光は細かく拡散されて七色の色合いをみせています。


今まで空と月と富士を別々に認識していたのですが、全てが一体に溶け合い、つながりの世界を現しました。

それは息を呑むような幻想的な風景でした。


心も体も同時に覚醒したように感じました

その時、頭はほとんど意識されず、自分のハートの部分だけが静かな鼓動を打っているいるのを感じていました。

何かが流れ込み、トクトクと満たされていきます。


富士山は私の住む家からも見ることができます、今までさほど想いを持ってみていたわけではなかったのですが、この時から私のハートと富士が初めてつながったような、そんな気がしました。



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